言語障害に役立つiPad

Posted on 11月 26, 2010 by

 

※アメリカのダウン症のコミュニティで、この記事面白いですよ、と紹介されていました。

タブレット型コンピューターの普及が、思わぬメリットをもたらしています。
コミュケーションに問題がある子供たち向けの専用装置は、いままで数千ドルもしていました。
タブレット型コンピューターによって、このビジネスモデルが崩壊してしまうかもしれません。

2歳でiPadを購入するまで、脳性麻痺のキャリーは「はい」「いいえ」の質問に反応することができませんでした。
現在、彼女は絵をタッチすると単語を発する190ドルのアプリケーションを利用しています。

キャリーの母は言います。
「娘がiPadを使うところを見てもらえば、娘は本当は賢いということがわかるはずです」
色を識別することも、外出したいという意思を表すこともできるそうです。

Proloquo2Go – AssistiveWare」は、言語に障害がある人向けのアプリケーションの一つです。
いま、このタイプのアプリケーションは増えています。
こういったアプリはタッチするだけで単語を発音したり、物語を通じて会話の基本的なパターンを教えることができます。
Proloquo2Go – AssistiveWare」の発売元では、Googleのアンドロイドでも動くアプリを現在、開発中です。

アップルの最高責任者スティーブ・ジョブズはインタビューで言っています。
「iPadは障害をもつ子供たちがすぐに使えて、簡単に操作できるようなデザインにしたいと心がけましたが、いまの使われ方はアップルのエンジニアも想定外でした」
「(障害者の親から来た感謝のメールを見ながら)アップルはこの状況を利用するつもりはありません。それよりも(iPadによって障害者の)現場で素晴らしいことが起きていることがうれしいです」

DynaVox社やPrentke Romich社などが販売している会話用の専門機器(眼球の動きでスクリーンに出力された文字を選ぶ)は、最低でも2500ドルで、高いものは15000ドルします。
その機器を医療保険でカバーできるのは7000ドル程度です。

DynaVox社の最高責任者エド・ダネリーは言います。
「機器が高い理由は、複雑なソフトウェア開発費もさることながら、耐久性のある素材を使っていることや障害者利用のサポートサービスが広範囲に渡っているためです」

エドはiPadがDynaVox社の機器を利用する人々の「ほんのちょっとの部分」を代用できるかもしれないと言います。
同社では「Maestro」(7820ドル)と呼ばれるタッチスクリーンの新製品を発表しました。

Prentke Romich社のラッセル・クロスは言います。
「専門機器は多く販売できないため、どうしても価格が高くなってしまいます。1年間に数千の装置しか販売できません」
いまのところタブレット型コンピューターの普及は、彼らの事業に打撃なかったともいっています。

専門機器の費用は政府と民間の保険が大部分を負担しています。
しかし、499から829ドルで販売されるiPadや他のコンピューターには適用されません。

ニューヨーク州立大学の言語聴覚士であるアンドレア・アブラモビッチは言います。
「タブレット型コンピューターが専門機器より価格が安いにも関わらず医療保険制度は適用されていません」
「タブレット型は医学以外の目的でも使えるので、それが適用されない理由でしょうね」

昔からあるコンピュータや小さなタッチスクリーン方の装置でも会話用アプリは使えましたが、多くの親やセラピストたちはタブレット型のほうが子供たちにもっと多くのメリットがあると言います。

9歳の自閉症の息子を持つシャノン・ローサは言います。
「iPadは息子が持ち運びでき、使うのにちょうどいい大きさなんです」
「動かすためにマウスを使う必要もないですし、やりたいことをすぐに実行できるんです」

カリフォルニアのスクールカウンセラーであるビル・トンプソンは言います。
彼は会話用のアプリをいくつか開発しました。
「特に会話をするのにとても役立ちますね」
「社会とのギャップに格闘している子供たちが、iPadを使っているところを見ると、彼らが(健常者と同じ)あたりまえのことができることがわかりますよ」

障害のある子供たちがiPadを使うにあたってはいくつかの改善があると言語療法士は言います。
子供たちがアプリを誤って削除したり、運動障害の子供が(目的とは違う)他のアプリを開いてしまわないようにロックできるようにしたほうがいいでしょう。

マサチューセッツ工科大学(MIT)では、タブレット型コンピューターが自閉症や言語障害のある人々にどのような効果があったかを研究する予定です。
MITのマシュー・グッドウィンは言います。
「例えば、障害者は会話の中でレストランや教会といった特定の場所を伝えられたり、人の声を2,3音節でシュミレーションする技術を使うことができました」

ニュースソース:Using the iPad to Connect

 




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