高橋源一郎さんがみた弱さの強さ
Posted on 1月 27, 2014 by DS21.info
高橋源一郎さんが、社会的に「弱い人たちを訪ねる旅」、
それをルポタージュした一冊「101年目の孤独――希望の場所を求めて」を御紹介します。
ダウン症の子どもたちのアトリエ、
身体障害者ばかりの劇団、
愛の対象となる人形を作る工房
なるべく電気を使わない生活のために発明をする人、
クラスも試験も宿題もない学校、
死にゆく子どもたちのためのホスピス…
ダウン症の子どもたちのアトリエは「エレマン・プレザン」です。
高橋源一郎さんにとって障害者は身近でした。
父親は小児麻痺になり、右足が不自由。小さい頃から源一郎さんにとってその様子は生活の一部でした。
また、源一郎さんの息子さんは急性脳炎になり、三分の一「助からない」、三分の一「助かっても重度な障害が残る」と言われ、結果、後遺症はほとんどないものの、そのとき父親として障害のある子供を受け入れる受容プロセスを経て腹を据えていたそうです。
受容プロセスとは障害のある子供を受け入れるときにもよく知られるキューブラー・ロス「死を受け入れる五つの段階」。
1.否認(なぜ彼が死んだり、障害者にならなければならないのか)
2.怒り(彼には何の過ち、罰せられるようなことはないのに)
3.取引(わたしはどうなってもいいから彼を元に戻して欲しい)
4.抑鬱(もう耐えられない)
5.受容(この事実を受けとめ、彼とどうやって生きていくかを考えよう)
あとがきで源一郎さんはこう書いています。
様々な理由で「弱い」といわれている人たちも、訪ねてみれば弱くなかった。いや、そうではない人たち、つまり、わたしのように、「ふつう」の人たちのほうがずっと「もろい」のではないか、とわたしは思った。
私も障害のある子供を持つ父として、息子やそのコミュニティを通じて感じたことの正体はこういうことだったのかと腑に落ちました。