もっと「ディープな感性」を身につけたい。MIMOさんの曲から生まれるもの

Posted on 4月 10, 2018 by

 

全国のイベントへ勢力的に出演する、歌手のMIMOさん。かつてメジャーデビュー寸前で能力の限界を感じ断念。その後、ダウン症のある子どもの出産を通じて、感じた曲GIFTを発表。現在では、バディウォーク東京のテーマ曲「きみはキラキラダイヤモンド」をはじめ、様々な曲が当事者だけではなく、様々な人を魅了しています。そんなMIMOさんが歌に込めた力を聞きました。

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MIMOさん、こんにちは。今日は私も知らないmimoさんの素顔に迫ってみたいと思います。
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さて、2013年に作詞作曲された、きみはキラキラダイヤモンド。バディウォーク東京ではもちろんのこと、事件のあった相模原など、全国各地、様々なところで歌ってきて、今年で6年目です。私は歌手ではないので分からないのですが、単純な疑問として、同じ曲を歌ってて飽きないですか?
MIMO
ハハハ!普通は「そーなんですよ!」ですよね。(笑)でも実はこれが「飽きない」んですよ。というのも、この曲はすでに「私の手を離れている」「曲が一人歩きしている」という感覚があるんです。この曲を「バディウォーク東京」のテーマソングにしていただいてから、本当にたくさんの場所で歌わせていただく機会がありました。そしてありがたいことに、みなさんに愛していただき、振り付けだけで3パターン、合唱としてさらに素晴らしくアレンジしてくださっていたり_‥‥。いろんなイベントでもかけていただいたり、過去に特別支援学校の先生の、結婚式のお見送りで流していただいたなんてことも。そしてバディウォークで行進しながら皆さんで、踊りながら口ずさんでくださっている姿を見て_‥‥あぁ、すでに「私の歌」じゃなくて「みんなの歌」になっているんだなぁって。そしてそれを聴かせていただいて「おぉ!そう来るか!」と、逆にものすごい感動を頂いていて。自分自身が改めて、この曲を好きになってたりする。
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なるほど。自分の作った曲が、様々な場面で歌われ、自分から手を離れたような感覚になる、というのは興味深いですね。私が中学生の頃にロックバンドU2の映画をみたとき、彼らの曲がニューヨークのハーレムにいる聖歌隊がゴスペルにアレンジしていて、その曲を聴いて、アレンジに驚いたことを思い出しました。それこそ、「おぉ!そう来るか!」と。
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でも曲の根底に流れているものは同じだから、同じ曲として聴ける。きみはキラキラダイヤモンドは何を歌っている曲なのでしょう?
MIMO
「ラブソング」です。この曲ってすべての子供たちや、スペシャルニーズがある方たちへの「ラブソング」なんです。
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「ラブソング」の視点で聴いたことなかったです。
MIMO
「皆さんのことが私は大好きです!」という想いも、めいっぱい込めているんです。目の前で聴いてくださっている方々に、毎回毎回「愛の告白」をしているようなもの。
MIMO
受け取ってくださる方々の「熱量」が瞬時に返ってくるんです。この「エネルギーのぶつかり合い」というものは、決して色褪せていかないんですよね。これが「音楽力」なのかもしれないですね。
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音楽のコール&レスポンスというのも、キリスト教の宗教歌、インドやフランスの伝統音楽、民族音楽がルーツで、コミュニケーション手段として普及していたみたいですから、MIMOさんの音楽を通じて、みんなと一体化していくというのは、ある意味、インクルーシブな状態を見せる手段として有効なんでしょうね。もちろん、それはMIMOさんだけでなく、世界の様々な音楽の現場でみんなが一体化することは、無我の境地であり、インクルーシブな状態ですね。
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そういえば、広島のバディウォーク、ブログで一生忘れられない、と書いてましたね。https://ameblo.jp/mimoco102/entry-12362468058.html
MIMO
今回のバディウォーク広島が、私にとってなぜ一生忘れられないのか_‥‥。それってやっぱり、私の原点に「やまゆり園」があったからかもしれません。二年前に大好きなやまゆり園で、あんなに悲しいことがあって‥‥私自身「もう歌えないんじゃないか?」というほどのショックがありました。
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そりゃそうですよね。
MIMO
でもそれから数ヶ月後「こんな時だからこそ!」と、アクセプションズで企画して「バディウォーク東京」で渋谷のスクランブル交差点を大行進しましたよね?あの時は正直_‥‥怖かった。世の中の流れも_‥‥怖かった。でも私一人では「非力」でしかなかったのに、みんなで手を繋げば「大丈夫!」だって信じることができました。あれはまるで絵本の「スイミー」のようでした。本当にあの時の「団結力」は心強かった。そして「声を上げ続けること」がやっぱり大事なんだ!と腹をくくることができました。
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2016年のバディウォーク東京、当日は青空で、とても天気の良い日でした。その日は、やまゆり園のことにあえて触れるまい、といった雰囲気もあるなか、リハーサルをするMIMOさんに、やまゆり園のみんながきっと、この空の向こうで聴いていてくれるから、どうか、空の向こうのみんなにも届くようにお願いしますね、って、なんか涙がでちゃって、MIMOさんに伝えて、一緒に涙したことを思い出しました。
MIMO
そしてそれを見てくださっていた巨匠フォトグラファーの宮本直孝氏が「何か」を感じてくださって、昨年の表参道「母の日写真展」に繋がったわけですよね?宮本さんだっておそらくあの様子を「テレビで観た」だけで、当初はダウン症についてまったくご存知無かったようでした。でもダウン症のある子たちと関わりを持つことで「知ろう」としてくださり「伝えよう」としてくださった。ダウン症の「理解者」となり「応援者」となってくださったわけです。正直なところ、いつもカラフルな「ステージメイク」で(要はケバい。笑)世の中に出ている私に「笑顔禁止」の「ほぼほぼスッピン」のモノクロ写真。あの写真展、本心は「できれば辞めたい_‥‥」というくらい、とても気が重かった_‥‥(笑)でも終わってみたら「あの顔」の「あの写真」だからこそ、伝えられたことがあったのだということに、後から気がつきました。
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確かに、あの渋谷でのバディウォークを振り返えると、様々なタイミングや、スタッフや関連する方々との出会いも、なにか、導かれているような感覚がありました。そこで起きたことが宮本さんとの出会いにつながったのだというのも興味深いです。宮本さんは数年に一度、社会的課題をテーマにした展示を行っていて、その着想につながった。そして、その写真は人間の哀しさを映し出した。企画当初、この「哀しさ」の意味がわからなかったですが、できあがっていく写真をみるにつれ、宮本さんすげーな、と。人類の哀しさ、なんですね。障がいがあるとか無いとか、どうでもいいわけです。人類が持っている哀しさを捉えている。
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母の日の写真展を通じて、広島につながった。
MIMO
そうです。今度はそれをご覧いただいた「メガネの田中」さんがあの写真展を見て「何か」を感じてくださった。そして「スマイルアクトキャンペーン」という「笑顔とメガネ」の写真投稿につながり、その寄付金が今回の「バディウォーク広島」に繋がったわけです。「このままじゃダメだ、何かおかしいぞ。世の中を正しい流れに変えなければダメだ!」という「人の心の中の優しさと正しさ」のバトンが、メディアや企業、あらゆる業界を含め、どんどんリレーされているような気がしたんです。
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小さな出来事が続くことで、それが大きな変化をもたらすというバタフライ効果みたいですね。
MIMO
行動を起こすことで、誰かに何かを伝えることができる。流れは起こすことができるんだ!改めてそう信じることができました。私の中でやまゆり園のことを忘れたことなど、1日もありません。いつでもみなさんはこの胸の中にいて「MIMOさん!頑張って!」って応援してくれています。みなさんを忘れないこと、やまゆり園のみなさんの存在が今の私の「原動力」になって突き動かしています。
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すばらしい!
MIMO
そしてイベントを行うたびにいつも思いますが、私一人では「非力」なんです。たくさんの方々のご協力、やさしさのエネルギーの集結、そして参加してくださったお一人お一人の存在があればこそ、社会に訴えかけられるだけの波を生むことがことができるんですよね。やはりいつもどんな時でも、私はすべての人に感謝しかありませんね_‥‥。すべての命には意味があります。そして「支えていただいていること」にいつも「感謝」の気持ちを忘れず、でも障がいがあっても「胸を張って幸せに生きているんだよ」という「ナチュラルな真実」を伝え続けていくことの大切さを、これからも心に抱きながら歌い、語っていきたいと改めて思った、今回のバディウォーク広島なのでした。
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現場で感じたことを自分自身にフィードバックさせることは重要ですよね。
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MIMOさんを支えている方に旦那様がいます。旦那様はMIMOさんの活動をなんと言ってますか?
MIMO
「MIMOちゃんは思う存分、やりたいことをやればいいさ!MIMOちゃんの曲、いいと思う。だって俺泣いたもん。だから俺は応援するよ!」と。
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いいですね
MIMO
まぁ結婚前から音楽活動をしていたので、私が「本気」で音楽に向き合っていることを、以前から知っていましたからね。でも、こう質問されると改めて‥‥彼に支えられているんだなぁと。私はとても恵まれているなぁと思います。もっと感謝しなければですね。笑
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理解してくれる方への感謝、自分ももっと感謝しないと。
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さて、これから10年、20年先、MIMOさんはどうなっているのだと思いますか?
MIMO
私ね、ある方にこう言われたんです。「MIMOちゃんは60歳になっても”伝え続けられる人間”でいなければダメよ!音楽にしても言葉にしても。」と。ハっとしましたね。今の「勢い」だけでやってるだけではダメなんだと。今はまだ徹夜もできるし「飛んだり跳ねたり」のライブもできますが(まぁかなり無理はしてますけど。笑)なのでこれから歳を重ねて行って、体力的に衰えたとしても‥‥自分らしいスタイルを模索しながら、さらにいろんな経験を積み重ねて、もっと「ディープな感性」を身につけたい。そして「大切なことの伝道師」って言ってもらえるような人間を、一生目指し続けたいなぁって。もちろん「音楽」はもっともっと突き詰めて進化していきたい。この二つは私の「ライフワーク」ですね。笑
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深い感性、っていい言葉ですね。
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最後の質問です。おばあちゃんになっても、きみはキラキラダイヤモンドを歌いますか?
MIMO
もちろんです!すべての子供は愛されるために生まれてきます。この曲を聴いてくださった方々が、ご自分のお子さんを改めてギューっと「ハグしたい気持ち」になってもらえるように‥‥。そんな願いを込めて、これからも一生、この曲は大切に歌い続けていきたいと思っています。
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今日はありがとうございました!


 




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