アメリカのダウン症のある子供出生の現状

Posted on 4月 16, 2012 by

筆者のアダム・ウルフバーグはボストンにあるタフツ医科大学の助教授、
専門はハイリスク妊娠です。
彼が医療の現場から書いた記事が興味深いのでご紹介します。

最近、母親の血液を採取することで、胎児の遺伝子の異常(ダウン症候群を含む)を正確に見つけるテストが実用化されました。
これは出生前診断の革命だと言われています。

過去30年間、胎児がダウン症候群か他の遺伝子の異常かを推測するには、
母の年齢、超音波と血液の検査を用いていました。
産婦人科医にとって、患者への説明がとても難しく、不正確な診断が多いのが現状でした。
確実な診断には羊水穿刺または絨毛膜絨毛サンプリングが必要なのです。
そして、その診断には流産する可能性があり、リスクを伴います。

では、なぜ出生前診断を行うのでしょうか。
それは患者と医者にとって、子供の遺伝子に問題があるかを事前に知っておきたい多くの理由があるからです。
しかし、多くの場合、それはダウン症であるかどうかどうかを知りたいのです。

さらに言うと、両親が出生前診断を行なう理由は2つです。

・障害のある子供を育てるか
・妊娠中絶の準備をするか

毎年、アメリカ国内ではダウン症の赤ちゃんの数は次の3つのから推測できますが、
この数字は大きく変わっていません。

・ダウン症として生まれた子供の数
・妊娠した母親がダウン症の出生前診断を行なう件数
・ダウン症の胎児を中絶する件数

興味深いことに、
アメリカでダウン症のある子供が生まれる数は若干ですが増えているのです。
情報元はアメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control)です。
毎年、6000人近くのダウン症のある子供が生まれますが、この数が増えているというのです。

その資料によれば、
出生前診断によりダウン症であると判断された母親が中絶を選択するのが少なくなっていると結論づけています。
1999年にはダウン症と診断されると90%以上が中絶されていましたが、
現在では60から90%程度になっていると報告されています。

いったい何が起きているのでしょうか。
妊娠中絶率が減少しているならば、ダウン症の子どもの数はもっと増えていいはずです。

ヒスパニック系女性の赤ちゃんの数は増加していますが、彼女たちはダウン症のある子供を最も中絶しそうにない人たちです。
一昔前の女性はダウン症の診断をするには意識的にしなければなりませんでした。そこで、陽性が出れば中絶する人が多かったのです。
しかしthe American College of Obstetricians and Gynecologistsのガイダンスに従い、今ではより多くの女性がダウン症診断を受けるようになりました。
つまり、陽性が出ても中絶しない女性も検査されるようになったのです。

ダウン症診断を受けない女性はお腹の子どもがダウン症であることを知る由もないので中絶をしませんが、
より多くの女性が診断を受けるようになった結果、全体としてダウン症のある子供中絶の数は増えたのかもしれません。

おそらく最も重要な要因は、
ダウン症のある人への社会的アプローチが大きく変化していることでしょう。

南カルフォルニア大学ermanente Medicalグループ・臨床分析部門の上級コンサルタント、
ジェイミー・L・ナトーリ氏は最近の記事にこのように書いています。
「ダウン症のある人の家族は昔に比べ、教育、社会、経済面でのサポートを受けることができるようになっています。
例えば、ダウン症を出産した女性は、彼女達が学生の頃、学校やデイケアセンターでダウン症のある人と接してきた経験を持っています。
さらにTVではセサミ・ストリートに出演するダウン症のある子供を見て育ってきました。
そういった点でダウン症のある人への理解が強いと思います。」
母親の血液でダウン症診断が容易にできることになる時代を前に彼はこう言います。
「予測することはできませんが、多くの人は中絶する件数が増えると言っていますよね。
(社会的な理解が浸透することで)私はその件数が下がってもまったく驚きませんよ。」

確かに過去の検査に比べ、判定は容易ですし、健康保険を使うこともできます。
今後10年間、妊娠初期の段階で診断を受ける女性の数も増えると思います。
しかし、それは多くの女性にとって、妊娠を続けるべきか、中絶するべきか、苦渋の決断をしなければならないことも意味しています。

以上を鑑みると、私はダウン症の赤ちゃんの数は現在とほぼ同じになるだろうと予測します。

ニュースソース:Why So Many Babies Are Still Being Born With Down Syndrome

※誤訳のため、HN主婦様にご指摘いただき一部内容を変更しました。ありがとうございました!

 




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