子役ロージーのハリウッド体験記(後篇)
Posted on 10月 20, 2011 by DS21.info
(前回の続きです)
その夜、製作会社リバーストリートへたくさんの情報をファックスしました。
翌日の木曜日に書類に記入し、文章をまとめ、
金曜日にロージーと他の兄弟を車に乗せ、プロダクションのあるバンナイスへ向かいました。
この近辺では唯一その日のうちに子どものための労働許可書を取得できる場所があるのです。
そして、土曜日にはアメリカ銀行(Bank of America)へ行き、
クーガン・アカウント(Coogan account。ショービジネスで子どもが働くときに必要な銀行口座)をつくりました。
この「クーガン」という名前は、ジャッキー・クーガンという実在した子役の名前が由来です。
彼は1920年代の子役スターNo.1。(チャップリンの映画「キッド」も出演)
300万から400万ドルを稼いだのですが、
母と義父によって全て浪費されてしまったことが発覚。
その後、子役が稼いだお金を子役のために残しておくことを規定したクーガン法(1939年成立)が成立しました。
現在、銀行でつくったクーガン・アカウントには子どもの所得15%を預けることになっており、
それは子どもが21歳になるまで誰も触ることができないようになっています。
1週間後、事務所から出演依頼の電話があり、
その翌朝には現場に向かわなければなりませんでした。
ピンクのドレスに身を包んだロージーと、
取り巻きのようにスーツケースを運ぶ私たち夫婦。
現場へ着くと、
役者さんやスタッフに食事を提供するクラフトサービスがありました。
マフィン、卵、ベーコン、コーヒー、お茶、果物ジュース。
ハンサムでフレンドリーなプロダクションのアシスタント・マリアーノ。
彼女は私たちを衣装部屋代わりのトレーラーへ連れて行きます。
衣装が決まると、次はヘアメイク。
日焼け止めをちょっと塗られ、
ヘアスプレーで髪を整えられます。
準備完了ですが、出番はまだ。
出番まで学校の宿題をいっしょにやりました。
呼び出しがかかると、娘はセットへ、私たちは映写室へ行きました。
出演する子役たちはみんな上手にリンボーダンスをしていました。
何回かカメラを止めてはそのシーンを撮影。
アシスタントがその子役たちのなかへロージーを引き入れました。
音響さんが「あの子(ロージー)は疲れてるんじゃないの?」と言ったため、
(ロージーは)お腹が空いていると考えた私たちは第2テイクまでにお菓子を食べさせました。
いったん撮影場所から離れたロージーは
ブランコを見つけるやいなや(撮影はおかまいなしに)駆け寄ります。
撮影スタッッフ全員がロージを待っていましたが、
ロージーは現場に戻ってきませんでした。
「ロージー、リンボーダンスの時間だよ」と言いましたが、
腕を交差させ「×」にして彼女は言いました。
「やだやだやだ、リンボーじゃなくて、スイングする時間なの。」
監督は言いました。
「(ロージーは)今日はもう終わりかな。」
監督はロージー抜きで再度撮影しました。
他の子役たちは経験豊富なのです。
そんなこんなで、午前10時30分で娘ロージー初のショービジネス体験は終了。
その後、ディズニーからの連絡は二度とありませんでした。
ニュースソース:Rosie’s Hollywood adventure
参考:ジャッキー・クーガン(wikipedia)