“R”ワードはやめて、Netflixへ抗議
Posted on 1月 29, 2018 by DS21.info
アメリカでは多くの家庭がケーブルテレビや衛星放送と契約していましたが、2010年ごろからインターネット配信にシフトし、2017年3月に配信は大手Netflixの契約者数は5090万を突破しました。
2016年のアメリカの人口が3.2億人ですから、国民の15%以上がNetflixと契約していることになります。
2018年早々には、ゴールデングローブ賞でNetflix制作のドラマがノミネートされたり、AppleがNetflixを買収するかもしれない、というニュースも世間を賑わせました。
ゴールデングローブ賞が配信ドラマの戦国時代に。Netflixの『ストレンジャー・シングス』、Huluの『ハンドメイド・テール』などが激突
http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/06/goldenglobe2018_a_23325615/アップルによるNetflix買収の確率は40%、シティが分析 | BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-159361>
そんな全米に影響力のあるNetflixのある番組がダウン症関連団体から非難を受け、ネットで話題になっています。
アメリカで人気のスタンドアップ・コメディアン、トム・セグラが出演する「トム・セグラの恥さらし」というコメディー番組です。
問題の部分はトムが
「これから(知的障がい者を侮辱する言葉を意味する)”R”ワードを『余分な21番染色体がある』に言おう」
と番組内で発言をしたこと。
この番組紹介を日本のNetflixサイトで見ると。
トム・セグラの恥さらし
2018 1時間 11分駐車場での嫌がらせやエロビデオ、子育てについて、トムの頭の中で渦巻く”不適切”な考えを、思い切り口に出してみる。近頃流行りの禁止用語なんて、関係ねえ!
出演: トム・セグラ
ジャンル: 海外コメディ、 コメディ、 スタンドアップコメディ、 バラエティ
監督: ジェイ・カラス
「近頃流行りの禁止用語なんて、関係ねえ!」と言ってのけるあたり、問題をおこしそうな番組のようです。
全米ダウン症協会もすぐにTwitterでトム・セグラの公式アカウントに対し抗議。
@tomsegura, we just watched your @netflix special and we find your repetitive use of the “R” word very disgraceful. We invite you to attend an NDSS event and meet individuals with Down syndrome. Individuals with the extra 21st chromosome will far exceed your expectations. pic.twitter.com/lrQUmgEPoK
— NDSS (@NDSS) 2018年1月19日
「Netflixの番組でのトムの”R”ワードはとても恥ずべき発言。NDSSのイベントに参加して、ダウン症のある人と会ってみて。21番目の染色体が多いということがあなたの期待を超えるでしょう。」
多くのダウン症のある子どもを持つ親もソーシャルメディアで不快感を表明しました。
ある親が Netflixにその番組を放送しないよう要請しましたが、Instagramでトム・セグラは「おい、Netflix、俺の特別な番組を取らないでくれ。それはとてもRetard(知恵遅れ)なことだよ」と煽ります。
この状態に世界最大のダウン症コミュニティである The International Down Syndrome Coalition(IDSC)の代表Shannon French,もNetflixのCEOへ公開質問状をFacebookに投稿し、番組の削除を要請しました。
Retard(知恵遅れ)と言われたダウン症のある人自身が傷つくのも確かですが、DS21.info的にこういった話は環境犯罪学上の理論である「割れ窓理論(ブロークンウインドウ理論)」を連想しました。
脱線しますが、この「割れ窓理論」の有名な事例はニューヨークのジュリアーニ元市長です。
ニューヨーク市は1980年代からアメリカ有数の犯罪多発都市でしたが、警察に予算を重点配分し、警察職員を5,000人増員して街頭パトロールを強化し、落書き、未成年者の喫煙、無賃乗車、万引き、花火、爆竹、騒音、違法駐車など軽犯罪の徹底的な取り締まりを行った結果、犯罪件数が激減し、治安が回復したという話。
今回の”R”ワードについても、影響力のある番組だからこそ、安易に使うことで、それを視聴者が真似して”R”ワードがまた使われる、という悪循環になると思います。
今後の動向も気になりますね。
ニュースソース:
Tom Segura Netflix Special Sparks Bullying in Down Syndrome Community | The Mighty
https://themighty.com/2018/01/tom-segura-retarded-down-syndrome-netflix/
参考)
割れ窓理論 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%B2%E3%82%8C%E7%AA%93%E7%90%86%E8%AB%96