日本初!ダウン症のあるキャラクター(tamako☆インタビュー)

Posted on 10月 29, 2016 by

 

世界初のダウン症のあるアニメは2011年、アイルランドのPunky(パンキー)。女の子の日常を描いたシリーズです。

世界初!ダウン症のある人が主役のTVアニメ | DS21.info

そして、2016年、ついに日本初のダウン症のあるキャラクターが生まれました。
初お披露目はバディウォーク東京2016です。

龍円愛梨さんの主宰するDS Smile Projectから生まれた三人のキャラクター。

s_nipo_friends

デザイナーのtamako☆(たまこ)さんに、制作秘話をDS21.info流にインタビューします。

キャラクターが生まれた背景やキャラクターの名前や説明など基本情報は以下のDS Smile Projectのページをご覧ください。
https://ds-smileproject.amebaownd.com/pages/663591/Niepe_and_friends

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あらためまして、こんにちは!
tamako☆
今日はインタビューしていただいて光栄です。
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こちらこそ、光栄です!日本におけるダウン症候群の文化的側面が豊かになることはとても興味深いです。
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このキャラクターには、ミッションがあるんですよね。
tamako☆
はい。
一番最初に「キャラを作ろう」と思ったときは、「ダウン症のあるお子さんやご家族が身に着けて” ちょっと嬉しい”気持ちになったらいいな、街で身に着けている人同士が出会って話のきっかけになったらいいな」と、ダウン症のある方達のためにキャラを作りたいな、というのが動機でした。
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なるほど。
tamako☆
でも、実際にキャラを考え、バディウォークの公式キャラになったりショップでグッズを売るようになったりと展開していくうちに、「このキャラは、ダウン症のことをよく知らない人に、知ってもらうキッカケになったり、ダウン症に対するネガティブなイメージをHAPPYなものへと変えていくというミッションを持っている!」と思うようになりました。そのために生まれたんだ、と。
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バディウォーク東京のチャリティストアでパスケースを購入した方が、ぶだんはあまり物に関心を示さない子供がニポと友達のキャラを見て喜んだ、という話を聞きました。先入観のない子供がキャラクターに関心を示す、というのはキャラクター自身に共感できる魅力があるからですね。親子で良いと思えるキャラクターなのでしょうね。
tamako☆
ダウン症のある人たちやその家族だけに愛されるキャラではなく、もっと広く知ってもらえるように、愛してもらえるように、育てていくのは私のミッションだと思っています。

s_niepo

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デザインという意味では、ダウン症のあるキャラクターは誰が作ってもよかったと思いますが、なぜ今まで存在しなかったのだと思いますか?
tamako☆
これだけゆるキャラがブームになると、どんなキャラが生まれていてもおかしくないと思いますが、ダウン症に限らず、一般的にネガティブなイメージのあるものについてはキャラになっているものはあまり見かけませんね。
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確かにそうかもしれません。
tamako☆
キャラというのはどこか「お遊び」というイメージがあり、ネガティブなものや病気や障がいなどをキャラにするのは、抵抗があったり、不謹慎ととらえられる恐れがある、 ということかもしれませんね。
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なるほど、当事者の親がデザインした、というストーリーがあることは、良くも悪くも、当事者の気持ちを理解していない、といった意見へのエクスキューズになりますね。
tamako☆
私も「ダウン症のある子どもの親」という立場になったからこそ今回キャラを作る発想が自然に生まれましたが、そういった当事者の立場でなければ、たとえは仕事の依頼で「ダウン症のあるキャラを作って」と言われても、どういった意識で作ればいいのか、難しい部分はあったかと思います。
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その話で思い出しました。子供向けTV番組「セサミ・ストリート」 には度々ダウン症のある子供が登場します。一方で日本の朝の子供番組ではダウン症のある子供をゼロとはいいませんが、見かけることはほとんどありません。「セサミ・ストリート」 は脚本を書いている エミリー・パール・キングスレー 自身がダウン症のお子様を持つ母親なんですよね。だから、自然と番組にも登場させることができたのだと思います。(キングスレーはエッセイ「オランダへようこそ」でも有名)

kingsley_elmo

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世界で初めてのアニメのキャラクターはアイルランドのPunkyです。2011年に子供専門チャンネル「RTEjr」で放映されました。Punkyは音楽やダンスが好きで、ハグすることも好きな幸せいっぱいの女の子で家族で暮らしている日常という設定です。今回の日本生まれのニポ、ピーブー、ニーニャはどこに暮らしている設定なのでしょう。
tamako☆
ニポ、ピーブー、ニーニャは、キャラクターとして生まれたのは日本ですが、暮らしている場所が「日本」とは限らないんですよ。
ダウン症のある人たちが世界中にいるように、ニポたちも世界中どこにでもいる、といえます。
また、3人の暮らす世界には、まだまだ他にもたくさんの仲間たちがいて、これから物語が広がっていくにつれて登場してくる予定です。
楽しみにしていていただければと思います。
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他にも登場してくるキャラクター、楽しみですね。

s_bwt2016

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ニポ、ピーブー、ニーニャを初めてみたとき、いわゆる「ゆるキャラ」よりもエッジな印象を受けました。キャラを描く上で心がけたことはなんでしょう。
tamako☆
それは、今回「ゆるキャラにしてはいけない」と思いながらデザインしていたからだとおもいます。
「ゆるきゃらにしよう」と思って作ったらこのデザインにはなっていないです。
世の中は「ゆるキャラブーム」ですが、このキャラ達はある時期の「ブーム」になってしまわないように、
ずっと使い続けていけるキャラにしなければいけないと思いながらデザインしました。
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なるほど。キャラクターの着想はどのように行いましたか?
tamako☆
(キャラの紹介サイトでもお話していますが)「ダウン症のあるキャラを作ろう」と思ったものの、当初はその表現にかなり悩みました。
tamako☆
「外見的特徴をもりこまないと「ダウン症のあるキャラ」だとわからないのではないか?
でも、ダウン症のあるキッズや親御さんは、”ダウン症がある見た目”のキャラを身に着けたいだろうか?
このキャラは”おなかに赤ちゃんがいます”マークとは意味合いが違って、
”ダウン症があります”と周りの人に知らせるためにあるわけではないのだし、、、
しかし、見た目を無視して「ダウン症のあるキャラ」といえるだろうか?
普通の子供のキャラと何が違うのだろうか・・・?」

そんなふうにしばらく悩みましたが、
「外見的特徴ではなくて、性格的特徴を表現すればいいんだ!」とひらめいたときに、
「これでキャラが作れる」!と答えが見えました。

そして、一概に「ダウン症がある」といっても、性格的特徴もいろいろで、多様性がある。
それを表現するには、1人(ニポ)だけではなく、複数のキャラを作って、物語を展開しよう!
そうひらめいたときに、ピーブーやニーニャが生まれ、一気にキャラ達の世界が動き出しました。

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キャラ達の世界が動き出す、面白い表現ですね。
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tamako☆さんは今までテレビや舞台など多くの舞台美術に関わってきましたが障がいのある方との関わりはどうでしたか?
tamako☆
恥ずかしながら「特に無かった」というのが正直なところです。
今までの生活の中でスペシャルニーズのある方との交流がほとんど無く、仕事の上でもそういった方のことを意識してきたことはなかったことは、振り返って反省しています。
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反省することはないですよ。私もダウン症のある子供が生まれるまで、スペシャルニーズの方との接点がありませんでした。最近でこそダイバーシティの重要性が企業で議論されたり、インクルーシブ教育に関心がある人が増えたり、障害者差別禁止法が施行されるなど社会的に変化してきていますが、逆に言えばひと昔までは当事者の家族、親類や知り合いにスペシャルニーズの方がいなければ、日本では積極的な接点がない状態だったのでしょう。
tamako☆
私自身が直接関わっているわけではないのですが、舞台美術の世界のことでいうと、数年前に始まった試みとして、「視覚障碍者の方に舞台を楽しんでもらえるように、劇場ロビーに”触れる舞台模型”を展示し、舞台の形状を知っていただいたうえで観劇していただく」ということも行われています。

tamako

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ダウン症のあるお子様がいらっしゃることで、今後、アーティストtamako☆の表現活動はどう変わっていくのでしょう?
tamako☆
私は空間デザイナーとして、テレビや舞台、コンサートなどのセットデザインや、イベントや展示、生活空間のデザインを行っていますが、
これからは「スペシャルニーズのある方もない方も、共にHAPPYになれる空間デザイン」というものが自分の中での大きなテーマになっていきそうです。新たな挑戦にわくわくしています。
「いつかオリンピックの開閉会式のセットデザインをする」というのが昔からの夢であり目標ですが、
今後は「いつかオリンピックとパラリンピックの開閉会式のセットデザインをする」に言い直していこうとも思っています。
DS21.info
素晴らしいですね!
DS21.info
貴重なお話、ありがとうございました。

DS SMILE PROJECTからのメッセージ

私たちは「ニポとなかまたち」を広く知ってもらうことで、ダウン症のある方達への正しい理解や受容に役立ってもらいたいと考えています。

私たちの想いをご理解いただいきダウン症のある人の理解を深め受容を広めていく目的のためでしたら「利用規約」に合意のもと「利用許諾申請」をしていただだきましたら
無料で「ニポとなかまたち」を使用していただけます。

基本的にはダウン症関連、スペシャルニーズに関する活動などでご使用いただけることを前提としておりますので、個人的な使用や、商業目的の使用の場合は申請を受託できなことがあるかもしれませんことを予め承ください。

今後、ダウン症やスペシャルニーズのある方たちのことを扱うイベントや著作物、ウェブサイトなどにどんどん出演させていただいて、多くの方に愛されるキャラクターとして育っていくよう願っています。

「ニポとなかまたち」の出演依頼、問い合わせ、利用許諾申請
ds.smile.project@gmail.com

 




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