ダウン症の遺伝子は成長とともに脳の学習能力を妨げている可能性

Posted on 3月 7, 2016 by


ダウン症候群は21番目の染色体が3つあります。
最近、ボストン医科大学のタリック・ヘイダ―(Tarik Haydar)博士とイェール大学医学大学院のネナド・セスタン(Nenad Sestan)博士の研究チームは、この遺伝子によりダウン症の人の脳が成長とともに変化していくことを初めて発見しました。

neuron1

赤ちゃん、青年、成人まで15名の死亡したダウン症の人の脳、(ダウン症のない)典型的な脳との比較も調査。
結果、(ダウン症の人の脳は)2,3の領域と2つのグループに分けることができました。

研究チームはいくつかのことを発見しました。
21番目の染色体は「オリゴデンドロサイトの分化(oligodendrocytes differentiation)※1」と「ミエリン形成」に影響があり、21番目の染色体が保護するミエリンの生成を減らしていることが判明しました。

このことは何を意味するのでしょう。

脳はニューロンから成り、軸索(じくさく)を通してお互いに接続しています。軸索は「ミエリン」と呼ばれている存在によって保護されています。
ミエリンは神経信号を素速く伝える役割をしており、生まれたときには脳の一部にしかありません。その後、ミエリンは20年をかけて脳の異なる領域で次々につくられていきます。
成人してミエリン化が終了するとともに軸索の枝は完成し,学習の可能性も狭まると考えられています。(※2)

つまり、前述の研究結果は21番目の染色体がミエリンの生成を減らすことで学習する能力を妨げているのではないか、ということです。

このミエリンの生成を減らす原因を解明することでダウン症の人の脳による影響を改善することができるかもしれません。

※1
オリゴデンドロサイトは中枢神経系内のグリア細胞の一つで、ミエリン(髄鞘)形成を担う。(オリゴデンドロサイト – 脳科学辞典)

※2
ニューロン | 脳について | 理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
http://www.brain.riken.jp/jp/aware/neurons.html

ニュースソース:
New Down Syndrome Discoveries Open Up Treatment Possibilities
http://www.parents.com/health/special-needs-now/discoveries-about-down-syndrome-may-open-up-treatment-options/

Discovery of key abnormality affecting brain development in people with Down syndrome — ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160225135608.htm

 



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