アトリエ・エレマン・プレザンの絵の正体

Posted on 10月 3, 2014 by

 

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東京・上野の東京都美術館で開催されている「楽園としての芸術」展へ行き、以前からアトリエ・エレマン・プレザンの絵に感じていた「不思議なもの」、その正体がようやくわかった気がします。

今回の展覧会は、何かの影響を受けて、それを真似るのではなく、ダウン症のある人が共通して持っているであろう表現のテイスト、そのテイストを「文化」として表した画期的なものだったと思います。
(個人的に様々な世界のダウン症情報を見聞きしますが、世界的にも珍しい、いや初めてなのではないかと思います。)

個人の作品はもちろん素晴らしいのですが、アトリエ・エレマン・プレザン、しょうぶ学園という二つの場所から立ち昇る表現の違いも見どころでした。

しょうぶ学園はパターンやデザイン性が強く、エレマン・プレザンは抽象性が強い印象でした。

アトリエ・エレマン・プレザンの展示エリアでは作品がどのように出来上がるかの映像を流していました。
それを観てエレマン・プレザンという場所はコミューンなんだという発見がありました。
表現技法を教えるのではなく、イメージを伝えるのでもなく、また、アドバイスもしない。
ダウン症のある人の心の中から湧いてくるものが自然に出てくる環境を用意しているコミューンとしてのアトリエなのです。

ああ、なるほど、と私の脳が発光しました。

いまの世の中は健常者の視点で構築されています。
様々なものが健常者の使い方、捉え方で作られ、ダウン症のある人(広義では障害者)にとっては、それをいかに真似て健常者の世界で生きていく、表現できるようにするか、ということを求められています。
つまり、ダウン症のある人本人たちが独自に持ちえているであろう表現手段、プロトコルを中心とした世界の表出はほとんどないのではないでしょうか。

そういった意味で今回はダウン症のある人たちが自分たちのなかから出したものが展示され、それらを通じて彼らの感性を知るのに非常に良い世界が展開されていました。
きっとこの感性は何百年前のダウン症のある人も同じものを持っていたのだと直感しました。

約2ヵ月半のあいだ、ダウン症のあるひとの世界が東京・上野に存在し、訪れた多くの人の脳が発光していたらいいなと思います。

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展覧会情報)
「楽園としての芸術」展 Art as a Haven of Happiness
2014年7月26日(土) ~ 10月8日(水)
http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_havenofhappiness.html

 




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