教育現場で活用されるiPad(前篇)

Posted on 3月 7, 2011 by

 

スローン(11歳)はダウン症。
テネシー州パウエルの小学校に通っています。
昨年の秋、小学校4年生のスローン・ブリッキーは言語療法士から会話の助けになる端末を勧められました。
その端末の大きさはは60cm、1度に6つの言葉を選択できます。
しかし、母ケリーが調べたところ、
言語療法士が進めた端末ではなくiPadが良さそうだということが分かりました。
自閉症の子供向けiPadアプリケーションのリストがあったのです。

iPad発売から1年も経たないのに、
母ケリーは偶然、さまざまな学校で多くのiPadを見かけました。
ペンシルバニアに住む耳の聞こえない学生、
南カルフォルニアに住む自閉症の若者、
ダウン症のスローンなど、
障害のある学生にとってiPadや他のタブレット型コンピューターはとても斬新です。
彼らは新しい学習機会を得ることができるのです。

ダウン症のある人は脳で考えたことがなかなか言葉にできない失行を伴います。
他の人にとって理解できることでも、
スローンは単語を形として理解することは難しいのです。
かつて母親はスローンに他人の会話を理解させようとしましたが失敗。
彼女は足をばたつかせ、部屋を出て行ってしまいました。

しかし現在では、スローンはiPadを使い、他の学生も興味深く近寄ってきます。
彼女は自信を深め、仲間と密なコミュニケーションをとることに成功しています。

スローンは「Proloquo2Go」というアプリケーションを使い、
絵や言葉、文章をスクロールさせながら自分の言いたいことを伝えています。
母ケリーは言います。
「娘は週末の出来事をそのアプリケーションを使って伝えることができます。
例えばソリに乗って、その遊びが好きであること。湖に出かけたこと。
それまで娘はそういったことを伝えることができませんでした。」

簡単に使えるというメリット

障害のある学生にタブレット型コンピューターはとても便利です。
サイズが大きく高価な旧式の端末より安く、簡単に使えるアプリもあります。
運動能力が弱い子供は、
マウスやキーボードを使うデスクトップ型コンピューターよりも
タッチスクリーンのほうが簡単に操作できます。
また、視力に問題を抱える学生には画面のサイズがちょうといいのです。

ミシガン大学の教育学教授であり、
電子工学のエンジニアでもあるエリオット・M・ソロウェイは言います。
「ゆっくり学習する子供たちにとって、読書は悩ましい問題です。
本のページをめくる腕が思うように動いてくれません。
その点、タブレット型コンピューターは本の代わりになってくれます。
障害のある子供にとって、伝統的な教材では出来ないことをテクノロジーは補ってくれるのです。」

以前は体験できなかった子供たちの自主性をテクノロジーが引き出します。
特に障害者は効果が大きいのです。

エリオット教授は言います。
「例えばあなたが何かを見つけると、それを記憶しようとするでしょう。
まさにそれと同じ脳のプロセスが子供たちにも起こるのです。
子供たちは話す代わりになる機械を見つけると、その機械を使って伝達しようと考えます。
機械、つまりテクノロジーは人の生活を変えてしまうのです。」

始まったばかりのタブレット型コンピューター市場でiPadが発売。
その価格の安さに最初は懐疑的でしたが、今は違います。
「あなたがiPadを指で操作しているときに、学校は非常に高価な機械を購入しています。
そんな高価な機械に教育の現場は殺されているのです。」

第一世代iPadは499ドル。
多くのアプリが無料か5ドル未満で利用可能です。
高いもので前述したダウン症のスローンが使っていた「Proloquo2Go」は190ドル。

ボルチモアの学校では算数を教える難しさをiPadで解決しました。
情緒障害のある6年生に対し、iPadを使って算数を教えたところ、効果があったのです。

後篇へ続く


Proloquo2Go(22000円)

・iPhone

Proloquo2Go - AssistiveWare

・iPad

Proloquo2Go - AssistiveWare

 




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